「つぎ」は来ない
Apple Watchを「普段使い」の腕時計にしています。
最初はデジタルのものを探していただけで、スマートウォッチなんて視野に入ってなかったんですけど。四角いスポーティではないデジタル時計は、今、数が少ないみたいでして。
ただ、詳しく下調べもせずに購入して使ってみたのですが、思わぬ副産物がありました。
この「腕時計」は、しゃべってメモがとれるんです。
これは大きいです。
幸運にも訪れた「ひらめき」を逃すことなく、その痕跡を残すことができるのです。しかも「しゃべって」です。
書くよりもしゃべる方が楽に感じる人間にとっては、このポイントを喜ばないわけにはいきません。「テクノロジー、やるなぁ」と小学生のような呟きも、つい出てしまいます。
更に付け加えると、メモと書きましたが、これは音声ではありません。テキストデータなのです。ピンとこないかもしれませんが、 ICレコーダー的な話ではないのです。
『ほんじつはせいてんなり まる こんなかんじに てん きろくされるのです まる』
と「腕時計」にしゃべると、
『本日は晴天なり。こんな感じに、記録されるのです。』
と、テキストに即座に変換されるのです。
(「てん」とか「まる」は、今回のために敢えてしゃべってみてます)
あとは、ご想像の通りです。
一旦デジタル化してしまえば、iPhoneでもPCでも、好きなエディタに持ち込んで、アイデアを深めることが容易になります。
音声入力のことはあまり追いかけて来なかったので、この精度とスピードには驚きました。
とにかく、自分は、忘れっぽっくて飽きっぽくて、いろんな作業を同時に進行してしまいがちなんです。
「ひらめき」も、イシヤマの頭にそれなりに訪れるのですが、その「しっぽ」をすぐに捕まえないと、何処かに消えていってしまうのです。
しかも、その「訪れ」のタイミングが予想出来ないのが、本当に困ってしまうところでして。
よく、散歩や移動のタイミングでメモを取りますが、これまでの「標準装備」は、ポケットに入る小型の手帳とペン、そして iPhoneでした。
その「訪れ」に遭遇したら、その場でメモしまくってました。
今は「腕時計」だけの時もあります。
ポケットからものを出さなくて済むようになったので、とにかく速く行動に移せて、「取りこぼし」も減ったように思います。
以前は、デスクに戻ったら、このアイデアをきれいにまとめて、資料にしよう〜と意気込んだりもしましたが、失敗の連続でした。
さらに言えば、「そのつぎ」、「そのあと」、「ベストなタイミング」...なんてものは来ないのです。 これは学習しました。「その時」に出来ないことは、かなりの確率で、水面下に沈んでいってしまうのです。
「ふくらめる」ことも出来なかったアイデアが、これまでウン百万もあったかと思うと、ぞっとします。もったいないと言いますか。
なので、正確でなくても、何らかの痕跡を「その時」に残すことの方を、イシヤマは重要視しています。
完璧主義は危険です。キレイなメモ(情報量すかすか)よりも、殴り書きのメモ(情報量∞)の方が、血となり肉となるのです。
イシヤマの振付アイデアのメモなんて、かなり雑です。
実際の例を上げます(これはiPhone で書いたものです)。
『両手が磁石の反発でトルソーから一気に離れる。そこから水平面をなでて、ゆっくりと上へ。で、モグラ。』
これは2016年頃のものです。
どの作品の、どのダンサーの動きのところのアイデアかは、自分には分かります。
他の人には「??????」でしょう。それくらいでいいんです。
まぁ、「ひらめき」の「しっぽ」を捕まえるには、アクションをシンプルにすることと、アクションの数を減らすのが、自分にとっては近道なのかなと思っています。
ただやっぱり、「腕時計」に向かってしゃべるのは恥ずかしいです。
こそこそしながらやってます。
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Original photos courtesy of Yohta Kataoka