「飽きっぽい」のは悪くない
最近「映画館離れ」の記事を目にしました。
ここで、取り上げられていた「集中力がない」という声が、こちらにしてみると「へぇ〜」という感じでして。
というのも、イシヤマは、集中力がもたないからこそ、映画館により頻繁に通うようになってきているんです。
まぁこのような状態になっているのも、ここ6-7年くらいで、まだまだこういう「楽しみ方」に新鮮味を感じているだけなのかもしれませんけど。
(それまで、空き時間があれば、極力、シアターやライブハウスに通っていたもんで)
正直、妙な物言いですが、ネットとかのレンタルを駆使して映画を楽しんでる人をみると、あこがれにも似た感情が出てきたりもします。自宅での映画鑑賞ですと、他の「誘惑」も多いので、うまく集中することができないタチなんです。
こちらは映画館に「監禁」されて、「観るしかない」状態にされてやっと集中する感じなんです。もちろん、拷問を受けにいくわけではないんですけど。
一つには、映画を観るという行為にも、ライブ性を何となく求めてるところが、自分にはあるんだと思うんです。シアターでの公演と一緒のものです。
「◯◯時開演だ、会場に急ごう〜」というものが、とにかく好きなのかもしれません。
「今、中断してもいいんだよな...」と思うと、本当に集中しなくなってしまうんです。
まぁ「そもそも論」的に言えば、イシヤマの「飽きっぽい」性格が原因なのは、言うまでもないんですけど。
で、こういう「飽きっぽい」話の時に、いつもイシヤマが話題にあげるのが、ポメラという製品でして。
キングジムから販売されている、言わば『ワープロ」です。テキストを打ち込むことしかできないものです。
これは30-40年前の製品ではなく、10年前に初代が発売された、「現役選手」なのです(もちろん、イシヤマも使っています)。
こんな一見「時代遅れ」の単機能マシンが、結構なヒットを記録をしたんです。今は第三世代くらいで、複数のラインナップがある程なのです。
「それしかできない」状態が、幅広い層に受け入れられたからなんでしょうけど、こちらは「自分のような「飽きっぽい」人が、今、多いってことでしょ〜」とか思ったりもしてまして。
というのも、ラップトップで原稿を書き始めたら、ついついウェブやSNSを確認しにいってしまうような「意志」の弱い人(イシヤマです)には、これは最適な道具なのです。
「テキスト打ちしかできない→集中出来る(仕方なく)→マス目がうまってゆく」という図式で、入力を進められるのです。
「飽きっぽい」からこそ、こういう「展開」にも出会うわけでして。
「行き止まり」とか、「どうにもならない」事態って、意外と無いんじゃないでしょうか。
まぁ「誘惑」に弱い「飽きっぽい」性格も、悪い事ばかりではないと思うのです。「好奇心旺盛」という言葉に置き換えられる部分もありますし。
見方を変えれば「柔軟な姿勢を持っている」とか、「フットワークが軽い」というポジティブな意味をまとうことがあるかもしれませんし。
自分は「飽きっぽい」が故に、アート・パフォーマンスを作り続けてこれたんだと思うんです。
ベースにあったのは、もっと面白いショウを観たいという「欲」で、これは正に好奇心です。
それまでのことに「飽きて」、「今度はこういう要素を取り入れる」「次は□□なアーティストとコラボレーションする」みたいな、新しい「欲」がずっと沸いてきているだけなのです。
○○道のように、辛抱強く何年も、一つのことを極めてゆくことを「エラい」とする価値観があるのは分かります。でもそれが全ての「エラい」ではないと思うのです。
もし「飽きっぽく」て、目の前のことに集中できずに、「参ったな〜」とため息ついてる人がいたら、こちらは「別に大丈夫じゃない?」と声を掛けると思います。
ちょっと視点をずらしてみるだけでも、状況は好転するかもしれませんし。
ネガティブなだけにとらえるのは、ちょっともったいないかなぁと。
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Original photo courtesy of Yohta Kataoka